Natural Cafe Jazz Live Report 2004.04

contributed by hyaralin-san


風説 大坂春の陣

 〜 その時歴史が動いた 〜

大坂昌彦トリオ
川嶋哲郎(ts) 金子雄太(org) 大坂昌彦(ds)
☆ ☆ ☆

花ふぶき
岐阜の桜もやっと6部まで花を携え、春爛漫一歩手前といったところ。何故か心も体も浮き立つこの季節。 入学、入社、人事異動・・・今日から新生活をスタートさせた多くの人々が緊張の面持ちで、或いは希望に胸を膨らませて 「初めて」の舞台に飛び込んでゆく、いわば一年のうちで最も熱い日であろう。
怪しき影
美濃国岐阜城下に「蔵」という茶屋を兼ねた音曲小屋がある。 城下最深部に位置し、いわば本丸ともいえるこの小屋は折りしも開店3周年を迎え、お祝いムードに湧きかえっていた。 春の陽気も手伝ってか、おびただしい数のお客様で賑わってる。しかし、そんな平和な城下に不穏な動きが・・・。 静かに忍び寄る怪しき影が3つ。「蔵」を舞台に繰り広げられる岐阜ジャズ界の歴史絵巻。
維新軍総大将、初の岐阜入り
90年代、原の朋直らと本邦ジャズの開国に力を注ぎ中心的な役割を果した「ジャズ維新」の志士、大坂の昌彦。 海外にも立派に通用する技術と感覚を持って、常に先頭を疾走し続ける太鼓打ち。 星目屋、可愛屋といった尾張国名古屋城下の音曲小屋をほぼ制圧した後は、M’sの傘の下、岐阜の東に位地する土岐国、 或いは西方の瑞穂国といったところまで勢力を拡大し、虎視眈々と「本丸陥落」の機会をうかがっていた。 そんな維新軍総大将が今宵いよいよ自軍を率いて満を持しての岐阜入りを果す。 これほどの音曲師が今の今まで攻め倦んでいた難攻不落の「蔵」も、もはやこれまでか!
無敵の剣客、本丸到達
大坂の昌彦が平成ジャズ維新を成し遂げるべく行動を起こしていた同時期、尾張国で一介の町人として市井に身をやつして いたのが川嶋の哲郎。星目屋で趣味で吹いていた笛(テナー)が大坂の目にとまったことが川嶋の音曲人生の始まりだった。 大坂の誘いのまま江戸に上がり維新軍に合流。その後の活躍はなにもここに記すこともあるまい。 そんな川嶋の哲郎だが、実は大将大坂より一足お先に岐阜入りを成し遂げていた。しかし岐阜南部の「島茶屋」、北部の「未来会館」と 周辺から攻める慎重な戦法。充分な下地を作って今ようやく「本丸」に到達!岐阜では既に当代きっての剣客として恐れられている。
新鮮組見参!
ジャズ維新の志士の次世代にあたるのが「ジャズ新鮮組」の面々。明治維新では、維新政府軍と壮絶な戦いを演じた「新撰組」も、ジャズ維新では 仲間として行動を伴にし各地の小屋を賑わしている。蔵も御多分に漏れず、既に羽根淵、石崎といった新鮮組の隊士に攻め入られている のはご案内のところ。 今回、大将大坂が懐刀として同行を命じたのは巨大な楽器を自在に操る若きオルガン師、金子の雄太。 5年ほど後輩にあたるらしいが、「美濃攻め」への闘志は変わらない。金子もまた星目屋から岐阜をうかがっていた音曲師の一人で、 大将同様初の岐阜入りとなる。はたして、ナチュカフェ屋階段落ちは見られるのか!


1st set

1.atlantis
  (composed by kawasima-san)
2.unit seven
3.you are my everything
4.wondering in forest
  (composed by osaka-san)
5.i fall in love too easily
7.???
8.all the things you are (an encore)
大坂昌彦
大坂昌彦(ds) 総大将

川嶋哲郎
川嶋哲郎(ts,ss,fl) 剣客

2nd set

1.u.t.b
  (composed by osaka-san)
2.marine snow
  (composed by kawasima-san)
3.joy spring
4.in the wee small hours of the morning
5.when the wind blows
  (composed by osaka-san)
6.mercy mercy mercy (an encore)

オルガンの毒
このトリオ、大坂さん、川嶋さんは同い年の仲間として共演歴も多数、一方ちょっと後輩にあたる金子さんが 二人と一緒にやるのはほぼ初めてとのこと。「オルガン不在の僕らの世代。そこにパッと現れた色男、それが金子くん」 なんて紹介されていた。この3人、最初の2曲からして既に何かを巻き起こしてくれそうな危険な香りを放っている。 華麗なオルガンの音、そしてまるで別人格のような足で刻まれるベースライン、有名な歌もの1−3も、オルガン特有の グルーブ感に包まれて何とも痛快な一品に仕上がっていた。個人的にはここで既に陥落。あとは煮るなり焼くなりどうと でもしてくれ〜って感じ(笑)。生で聴くことが滅多にないオルガンだが、普段思い描いている音はある。でも、 そんな僕の想像力がいかに貧弱だったか・・・思い知らされたね今夜は。「百CDは1ライブにしかず!」ってとこかな。 ジャズを奏でる楽器としてはかなり毒気があると勝手に思っているオルガン。どんどん毒が廻ってきてこの上もなく 気持ちよくなってきた。お約束の2−3でその毒は体全体にいきわたる。
逃亡者
「大坂くんに拾われてここまでになりました。彼は産みの親です。プレーで恩返しします」なんて冗談めかして殊勝なことを 言っていた川嶋さん。案の定大坂さんに「やめようよ、白けるから」って突っ込まれていた、ハハハッ。 しかし1−5には泣けたね〜。ゴリゴリの川嶋さんもいいが、バラード吹かせたらこれまた日本一でしょう。 大坂さんにMCをふられて「えー、しゃべりは苦手なので演奏に逃げま〜す」なんて笑っていたが、 どんどん逃げて欲しいもの。一生逃亡生活を続けてもらっても構いませんよ。 オルガンとタイコの見事なまでの演出のなか、朗々と歌い上げる様は圧巻。店内は皆ちゃんと呼吸をしているのか心配に なるくらい静まりかえってステージに集中している。2−2は自身の曲をフルートで。この人は何をやってもウマイ。 驚くことに、まだフルートを始めて1年あまりという。大坂さんいわく「たった1年の練習で、人前でやっちゃうんですか!」 だって(笑)。初めて聴いたが、不思議な魅力のある曲。オルガンがすこぶる効いていた。
あんたが大将
しかし、大坂昌彦という人は本当に稀有のドラマーだ。 音楽理論にも精通していて、曲も書いてしまう。今日も多くのオリジナルが演奏されたが、 曲作りのポイントは「ひらめき」だという大坂さん。本来10分、15分で出来るのが理想的らしい。 つまり30分以上かかった曲は、手直しに時間をかけているだけなんだって。なんとなく納得。 もちろん、タイコも多彩な色を放つ。4つ有り、8つ有り、すべて完璧。メチャメチャ切れている。 このクラスの人たちは「できないことは何も無い」ことが大前提で、そのずっと先に勝負どころを置いているのだ。 そして、ビジュアル的にもカッコイイ。眉間にシワの寄った難しい顔で「現在、一生懸命叩いております。 全身全霊タイコに注いでおります」的なアピールをする人ではない。終始笑顔でにこやかに、回りとアイコンタクトを とりつつ凄いことをやっている。その余裕に惚れました(笑)。 2−5は、川嶋さんのソプラノのバックで、これでもかってくらい強力な4ビートを披露。
しごきの極意
アンコールは、影の主役金子さんが最も映えるであろう選曲。 途中、日本一有名なオルガン曲「キューピー3分クッキング」なども飛び出して大いに盛り上がる。 そういえば、大坂さんがピタリとタイコをやめて金子さんの一人舞台となった場面があったっけ。 アイコンタクト(哀願?)も無視してリズムは一切刻まない大坂さん。 金子さん思わず「いじめだ、いじめ!後輩いじめだよ〜」なんて毒付いてた(笑)。
大坂春の陣
大坂さんの勝どきの声とともにライブは終了。見事なまでの「美濃攻め」であった。 これで本丸は完全に陥落。岐阜は大坂トリオの軍門に下ったわけだ。 今宵の出来事は「大坂春の陣」として長く岐阜のジャズ史に残るであろう。 圧倒的な「力」を前に即座に抵抗をやめ、既に従順な家来と化している僕は戦の勝利と蔵の3周年を祝う祝宴の末席に参加させてもらうことに。 宴会はまさに大将の独壇場。これほど気さくなお人だったとは・・・ちょっとビックリ。 対照的に物静かな川嶋さん。激しい戦にかなりお疲れのご様子。一足お先に旅籠へ引き上げていった。 祝宴は寅三刻まで続いたというから、現在の時間でいえば何と午前4時!それでも若い金子さんはまだまだ行きたかったようだ。

さて、最後になってしまいましたが、蔵さん3周年おめでとうございます!これからもどんどん名の或る音曲師に攻め入られて下さい(笑)

金子雄太
金子雄太(org) 新鮮!
大坂昌彦
オルガンとシンバルが接触事故!
打ち上げ1
お疲れ川嶋さん & 舌好調大坂さん
打ち上げ2
酒豪金子さん & 店長Mamiさん

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