2004年6月1日

 詩 人

榎本 初によるのページです



   虹晴れ

 萌えわたる白詰草が濡れて、空に滲んでいる。
 少年はしゃがんで、頬を微かに丸くして赤くして、膝小僧の土を両手で払う。雨垂れがひとしずく、左手のくすり指の爪を濡らす。空が心に染みて、染みていき、涙を結んだプラチナが翔けめぐり脈動を打ち鳴らす。眼差しの行方を惑わすようにして広がる白い波が、紫色に始まる七つの花を見つける。白い涙に告げる、花の場所を。花は、太陽が生まれる前から、少年が抱いている。
 しなやかに虚空を振り抜くタクトの先に響く、ファンファーレ。

              二〇〇四年五月二十八日
ナカネコ!
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