2003年4月10日

 詩 人

榎本 初によるのページです



   碧天

 罅割れた空にラッパの音が軋んでいた。真っ赤な鶏冠はキャンバスの旭日を破っていくだけで、空を描くことを知らない。
 ひとりひとりの胸の奥深くから、祈りの都が光を放っている。鶯が歌い、光よりも永い祈りを岬に届ける。雨垂れが巌を穿っていた。碧天。祈りが舞う、昇り舞う、唇が燃えて。太陽の律動が言の葉を重ねて旋律を紡いでいき、大空を織っていく。指先が、躊躇いなく機を繰りながら、ひとりふたりと繋いでいき絡めていき、頬笑みを奏でていく。シャコンヌが聞こえる。
 ひとつの青い空がまわりはじめる。

              二〇〇三年四月七日
ナカネコ!
Copyright(C) 1998-2004 ENOMOTO Hajime. All rights reserved.