2004年1月1日
詩 人
榎本 初による詩のページです
ねこぴあの
襖が開けられた隣の部屋から誰も見ていない
テレビの音が聞こえていて独りを紛らわして
ネコピアノネコピアノネコピアノネコピアノ
ヴァイオリンコンチェルトチャイコフスキー
僕の
身体の中に入っているんだよたっぷりと
あのねコピアノネコピアノネコピアノねこぴ
あのね君と話がしたいんだいつも陽だまりで
ごろ寝ばかりしてそりゃあ気持ちいいよなあ
ヴァイオリンは嫌いかなあ君の名前はピアノ
鍵盤の音に枕
欹ててニャアなんて鳴いたから
この猫ピアノねこぴあのネコピアノネコぴあ
そりゃあピアノも好きさバンドネオンも好き
でもねチャイコフスキーヴァイオリン震えて
哀しみ溢れて歓び弾けてロマンノスタルジー
忘れちゃいけないんだ僕の宇宙に流れる旋律
信じなくちゃいけないんだ嵐の中で倒れても
ピアノねこ陽だまり猫ピアノわからないよね
寝ていないで座ってもいないで立ち上がって
背筋伸ばして弓を握って大きく構えてごらん
ネコピアノネコピアノネコピアノネコピアノ
襖が開けられた隣の部屋から誰も見ていない
テレビの音もう消すよでも明かりは消さない
二〇〇一年四月二十八日
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