2004年1月1日

 詩 人

榎本 初によるのページです



  ナゴヤ系

日が夜より伸びてきたある土曜日三〇〇系で
窓側にさっさと陣取って若い男女が隣二つに
込み入った通路から傾れ込んできて終着まで
青空に執着する羽目になったのさ午後一時半
ナゴヤから東京まで何も憶えちゃいないいや
雲の数は憶えていたね白いのが七四個かアア
数え方なんか訊かないでおくれよ言わないよ

新宿東口は午後四時を回っていたね肉うどん
天玉うどん食券販売機の前で独り悩まないで
千円札を差し込んで返せよ五〇〇円肉うどん
白い麺細い麺独り急がなくてもいいのに何故
独り急いで立ち食うことで空腹思い出されて
空腹満たされて丼の底まで見えてご馳走様と
声に出して少し元気でアングラへ人と流れて

取留めなどないのだ絆されて泳がされて東京
独りであることの確認を怠らずにいるだけで
ボーダーレス曖昧ですこの街の色この僕の顔
確かな輪郭なぞりたくてなつかしくてナゴヤ
僕の街十数年馴染んでて気恥ずかしい何かが
滲んで何かとしか言えなくてただはぐらかす
しかなくてそそくさと異郷の友に会いに行く

              二〇〇一年四月二日
なかない猫・バナー
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