2003年2月23日

 詩 人

榎本 初によるのページです



  バロックカノンモダン

梅が山隠すのを雪ですかと尋ねられていいえ
と答えるのは野暮であるがはいと口に出すは
花を散らすのであって黙ったまま真白のやま
微笑んで細やかな水が流れて律動をせせらぎ
グールドは子守唄など知らなかったのであり
とめどなく横溢するイマジネーションの泉が
実は真綿のまま粉雪こゆきのままで追いかけていく
大バッハ周波数に構築されつつ閉塞していた
世界を変幻自在に転がしていた荘厳な父には
彼にしか解らない彼ですら届かない自由への
飽くなき欲求から果てることなく涌き出づる
悲しみ誰にも見せなかったそれでいて誰もが
知っていたそれなのに誰も追いかけることの
できなかった涙の疾走を追いかけていくいや
グールドは子守唄など知らなかったのであり
子守唄など知らなくて構わなかったのであり
追い抜いていくパッションパッション青空へ
エナジー泉から溢れんばかりひろがりめぐり
やわらかにあでやかにみなぎる光彩ひかりすわ覚醒

              二〇〇一年三月九日
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