2004年1月1日

 詩 人

榎本 初によるのページです



  みずの木

鞄からスケッチブックを取り出して一つの
木の輪郭が描かれていて何色にも塗られて
いなくて染まっていなくて君はほほ笑んで
泣いていて叫びたくて叫ばないでみず色を
指先に秘めてりさらりゆらり出日いづるひ見つめて

乳白色の笑窪の息遣いに僕の頬が震え綻ぶ

如月の素描の中に赤い蕾が降りそそぐとき
細い枝が空より伸びて光を繋いで幹と成り
頑なな根が土の匂い潤いきっと掴んでいる

              二〇〇一年二月十一日
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