詩 人

榎本 初によるのページです


 月の光-ただ一個の僕

 遅遅として、歩みは重く、
 頭上から、百億光年の無が圧し掛かる。

 無と対峙する僕がいる。
 無と対峙する僕はいない。

 嗚呼、大河はその悠久の流れを奪われ、
 パズルの中に組み込まれていくのか。

 何の取り柄もなく
 万人の中に消え失せてしまいそうな、

 しかし、いや、

 だからこそ、

 ただ一個の僕が、
 あらゆる類型化から解放されて
 両腕を大きく広げて
 朝の光を包みこむ。

 飛べ、月へ。
 決して他力ではない
 月の光へ。



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