詩 人

榎本 初によるのページです


 おまえの魂は

 おまえの魂は何処へ去ったんだ。

 おまえの魂は、
 決してその姿を人前に曝すことはなく、
 孤高なる寡黙を続けていたが、
 地底に眠るマグマのように熱く、
 ジャングルの奥深くにすむ野獣のように鋭く、
 そして、
 何時でも、陽光に浮かび上がる地平を見据えていた。

 今のおまえは何だ。
 汚れている。壊れている。
 心が、身体が、おまえを支配している。

 激しく降る雨は、
 泥だらけのおまえを浄めるどころか、
 腐りきったおまえを突き刺すに違いない。
 大空と大地に轟く雷鳴は、
 迷えるおまえを呼び覚ますどころか、
 臆病なおまえの心臓を止めてしまうに違いない。

 叫べ。
 叫ぶんだ。勇気を、希望を、未来を。
 おまえの魂が待っている。
 そう、おまえを、おまえたらしめる、
 おまえの魂が。



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