RA6793A について
About Racal RA6793A Receiver
概要 General
この受信機は、米国RACAL 社で1991年から1998年まで作られた。
メインダイアルのほか、キーパッドから周波数の入力が出来る。
キーパッドは、ハードキーでハリスRF-590と同じ。メモリーが100CH有る。
受信周波数は、500Hzから30MHzです。Serial No.185。
軍用機種名は、 R-2320/URR でPHONEジャックが2個有る。
電源、リモートのコネクターが違っている。ISB用のLINE / AF VR, PHONEジャックが有る。
RA6793A-6(R-2320/URR) from Tront Surplus Scientific Inc. HP
RF回路はRA6790/GMとほぼ同じで特性も同じになっている。
出力コネクターのピンアサインも同じで換装時、楽に出来る。
JRCの受信機と同じ考えか。古いタジミの電源コネクターを未だに使っている。
AF, ACコネクターはキャノン、RFコネクターはNかBNCでしょう。JRCさん。
マイクロプロセッサーは Microproccer is Z80. Clock is 2MHz.
メインCPUは、汎用のZ80です。クロックは、2MHz。発振は4MHzで内部で2MHzにしている。
BITE (Built-In Test Equipment)により受信機の自己診断とフィルターの帯域を自動測定できる。
この時フィルターの帯域の狭い方から順に並べ替えてくれる。BW1からBW5に割り付ける。
CPU基板にROMは1個だけ。6790が3個、1792が2個と進化しているのか。
回路は About circuit.
回路は、高周波増幅無しのアプコンバージョンで 1st IF 40.455MHz 2nd IF 455kHzです。
入力には、0〜30MHzのLPFが入っているだけ。プレセレクター、BPFは入っていない。
しかしRA6790/GMのLPFより耐入力特性が強化されている。+27dBm(500mW)でカットオフになる。
フューズ、ガス放電管、Di(ツェナーDiとSi Diをシリーズ接続)が入っている。1st Mixer不良の対策か。
1st IFの40.455MHzのRoofing Filter(Xtal filter)は帯域幅20kHzと25kHzの
2組のフィルターを使いシェープファクターを稼いでいる。
455kHzの2nd IFには、7個のXtal FilterかCollinsのmechanical filterが使用可能となっている。(両方の取り付け穴有り)
これには0.4kHz CW, 1.2kHz RTTY, 3.2kHz SSB, 6.8kHz AM, 16kHz wide AM/FM用の5個のXFが入っている。
自動計測では、0.4, 1.5, 3.2, 7.9, 18kHzと表示される。内部の100Hzをカウントしている。
コリンズのFA型を入れようとしたら止めねじがじゃま。ねじの無いFD型もピンの間隔が違って入らなかった。
BWが5個しかないのでスロットは7個有っても3.2kHzをSSBと共用しているので後の2個は使えない。
最大のフィルター数は、LSB/USB各1個とAM,CW用に5個の計7個が入れられる。
RA1792のようにパスバンドチューニング(LSB,USBから0.4と1.2kHz帯域へ飛べる。メイン周波数はそのまま。BFOでチューニングする)
なんて出来ません。→TNX information by 7N3SDM
RA37xxシリーズではこれが簡単に出来るようになっている。SSBも帯域を色々選べる。
7088とか3半の広帯域SSBを聞くには良いけど。実用では、2.1kHzのMFを入れてRA1792のようにパスバンドチューニングして欲しい。
SSB用は、2.3kHzのコリンズMFに変更した。
上面 Upside XF5個入ってる。
5 crystal filters
裏面 Downside 裏面のシールドを外した Downside cover removed
1st Mixer used an SD5000I DMOS Quad FET tip
(cover removed) 1st Mixer and LO Amp
(A2 Board)
1st Mixerは、SD5000 quad DMOS FET ICのアクティブ・ミキサを使用している。中心の金色。
40.455kHzのルーフィングフィルターの帯域は、20kHz。
1st LOは、40.455MHzから70.455MHzで+11dBmとなっている。Trが燃えてないので放熱は良いのかな。
2nd Mixer (A3 Board)
2nd Mixerは、MC1496PでLOは、40MHz/-1dBm となっている。ここの40.455MHzのルーフィングフィルターの帯域は25kHz。
First LO Synthesizer (A7 Board)
Second LO/BFO Synthesizer
(A8 Board)
基板の写真で見る限り6790と同じようです。コンパチかな??・・RFのみコンパチか。LO、制御基板は駄目みたい。
20kHz以下の周波数を強化したのも有るようです。(RA6793A-7)
1st LO出力が18dBm。
1st LO回路にノッチが入る。ここのフィルターが16kHz。
2nd Mixerのルーフィングフィルターが16kHz。など変更してある。
シンセサイザーは、PLLで5MHzのTCXOでコントロールをしている。
ここに外部OSCをロックさせることが出来る。入力は、+2dBm。
現在HPの基準発振器の10MHzを1MHzに分周し、TTLレベルを1/4に落して外部ロックしている。
RS-232Cユニットは実装されている。232Cのコネクターを手に入れてPC制御してみたい。
ISBは、Option。
出力は、ライン出力の600オームとスピーカー出力が独立して出ている。
ライン出力は、AM 30%変調の時0dBmで+-10dBm範囲でメーター指示が出来る。
RF入力は、0から120dBuの指示をする。
ダイアルのSTEPは、1Hz, 30Hz, 1kHzが選べる。
ミュート回路が解らないのでミュートが出来てない。
ミュートは、RF Pre-Amp Module Assen.基板(A1 Board)を入れると出来るらしい。
デスプレィーは About Display.
右のDISPLAYは
読みとり周波数(Hz単位)と
右下にBFOのキャリアSHIFT周波数でこれがビート周波数になる。(CW MODE)+-8kHz
またここにSCAN時のスレシホールドのレベルが数字で表示される。(0から150)
左下は、メモリーのCH
左のDISPLAYは
RF, AF LEVEL 0 to 120 dBu RF/ -10 to +10 dBm AF
MODE AM/ CW/ USB/ LSB/ FM/ ISB
FILTER BW1からBW5の5個が入る。(AM/ CW/ FM)
USB, LSBは、独立したFILTERが入る。
AGC SHORT/ MED/ LONG
AGC制御(MANボタン) 自動/手動
操作は Operation
右側のキーパット
right-hand keypad. frequency, step, BFO input
周波数入力 エンターキーを押してから数字を入力する。
ステップの切り替 Tune Rateキーで3段階(SLOW 1kHz, FAST 30Hz, 表示無し 1Hz)
BFOの設定 BFOキーを押してメインダイアルでShift周波数を設定する(10 Hz step)。
BF/CNTキーでShiftを0にする。
左側のキーパット
left-hand keypad. mode, meter, AGC, BW, Memory input/output, scan, sweep,
threshold, RF digital meter
モード切り替 AM, CW, USB, LSB,ISB U/L, FM
メーター切り替 RF/AF RF DIGで受信中のRFメーターのデジタル表示(0から149)。メーターはdBuでほぼ合っている。
AGC切り替 SHORT, MED, LONG
AGC/MGC切り替とAGC offが1ボタンで出来る。
MGCにしてAGCがSHORTの時そのボタンを長く押すとAGC offとなる。
帯域切り替 BW(AM/CW/FM)とUSB/LSB
メモリー関係 CHAN, LOAD, CONT, THLD, SWEEP, SCAN
LOCKとAMボタンの同時押しでBITEチェック。
LOCKとISBボタンの同時押しで帯域設定。AUXの文字が出てくる。
SSBは、BFO中心周波数を455か+-1.8kHzにする。
LSBベイにシンメトリカルFILを入れると+-1.8kHzになる。L/U専用FILを入れると455kHzに固定される。BITEで自動的になる。
手動でやる時は、AUXを出してリターンのみを押すと455kHz固定、数字を入れリターンを押すと+-1.8kHzになる。
あと回路がNGの時点灯するFAULT, SCAN、デルタモード使用ΔのLEDがある。
SCAN操作法
メモリーCHを設定。
SCAN時の各周波数でスレシホールドが設定できるのが良い。受信中RF
DIGを押しそのレベルより少し低く設定する。
SCANしたいCHでSCANランプ点灯させる。(SCANボタンを押す。)
SCANを押してスタ−ト。
SCANを止めるには、マニュアルしかない。ハリスのCORなんて無い。SCANボタンをもう1度押す。
DWELL時間は、SCAN中0から9を押す。(0が100mS、9が10S。)
SWEEP操作法
開始周波数をメモリーする。
SWEEPボタンを押す。
終了周波数をメモリー。これを2NDに登録。
SWEEPボタンで開始。
STOPボタンで終了。・・か??
うまくいってない。
デルタモード
耳慣れない言葉?
Racal RA6793A Receiver specifications
Frequency Range | 0.5 kHz to 29.999999 MHz |
Resolution | 1 Hz -- tuning steps 1/30/1000 Hz |
Readout | 8 digit LCD readout --3 digit BFO +- 8 kHz to 10 Hz, RF Level Digital readout>-- Mode / S meter LCD |
Conversion Type | Dual Conversion -- 40.455 MHz 1st IF -- 455 kHz 2nd IF |
Stability | +- .5 parts in 10 to 8th (TCXO) |
Mode | USB - LSB -- AM -- CW -- FM |
AGC | Short/Medium/Long -- <30mS/200mS+-100mS/3750mS---(1000mS/1500mS mod) |
Sensitivity | -113 dBm (.5uv) for 10 dB s/n ratio, -99 dBm (2.5uv) for 10 dB s/n ratio in 6 kHz AM NF<15dB |
Selectivity | Xtal Filters -- SSB U/L - 3.2 kHz(2.3kHz) -- AM/CW - 6.8 kHz - (2.3) - 1.2 - 0 .4 -- FM - 20 kHz |
Intermodulation | 3rd order intercept point - greater than +30 dBm |
Remote Control | Board A6 -- RS232C -- 26 pin circular rear plug -- Built in Self Test |
Power | 115/230 volts, 48 to 420 Hz-- 40 watts |
History | Original Price $? -- 1991 -98 |
Dimensions | 19"(48.3cm) wide -- 5.25"(13.33cm) high -- 18.5"(47cm) deep -- 32 lbs.(14.5kg) |
( )modified
Noise figure: Less than 15 dB.
Intermodulation (Out-of-band): For signals 100 kHz or more from receiver tuned frequency.
The third order intercept point
is greater than +30 dBm.
Second order intercept point is greater than +60 dBm.
(Below 1.5 MHz these limits may be exceeded.)
Intermodulation (in-band): Better than -50 dB for two -10 dBm input signals within
the IF passband when measured at the IF or line AF output.
Cross Modulation: The level of a 30% modulated signal, 50kHz off-tune necessary to
cross modulated an on-tune carrier to a depth
of 3 % shall be greater than +21 dBm (2.1 volts).
実測感度は、Receiver Test Data by Sherwood Engineering より(RA6790/GM)
となっている。
自分で感度を測ってみました。 December 2008
Mode CW/BW=0.3kHz/AGC off/F=29.9MHz/BFO +650Hz/s+n/n 10dB used HP 8948A SSG
and Shibasoku 796E.
Result:
RA3701
-122.7dBm/-131.4dBm (RF amp off/on)
RA6790/GM -116.4dBm, RA6793A -118.3dBm
RF-590A
-122.2dBm
各フィルターの総合特性
SGでAMを作り変調周波数を変えて測定した。
line出力を計り、AFで1kHzを基準に6dB落ちの特性です。
Racalは、SSBフィルターがシンメトリーのときはBFOを+-1.8kHzにする。
これは帯域幅3.2kHz用であって帯域を狭くしたときは低域が出ない事になる。(2.3kHz MF では650-3000となる。)
BFOを+-1.5kHzとし受信周波数を-+1.5kHzとすれば300Hzから聞こえるがこれが面倒。
LSB/USBの2.1kHzはコリンズのCB用のMFです。最終的にこれにした。
混信の多いHAMの通信では、2.1kHz位の帯域幅が有利と思います。昔使ったヒースのSB-300受信機の聞きやすさをいつも思っています。
mode/filter | 2.1kHz U/L | 2.3kHz | 6kHz | 16kHz |
AM 80% | 4270max | 10.6k max | ||
USB | 330-2620 | 650-3000 | ||
BFO+1.5kHz,f=-1.5kHz | 270-2640 | |||
LSB | 380-2600 | 500-2990 | ||
BFO -1.5kHz,f=+1.5kHz | 320-2770 |
RF input: 28MHz. AF line output: Ref 1kHz -6dB point (Hz)
使ってみて User report
やっぱりメモリーは便利です。
Long AGCの3.75Sはやはり長すぎ。→1.5Sにした。
周波数の下限が無いのは、良いですね。
RA3701と比べると操作性が悪い。
修理記 改造記です。Repair
1.外部周波数でロックするようにした。1MHzを供給している。
2. DISPLAYのLCDを両方共新品に取り替えた。これは、前の持ち主が実施。
接続はフレキシブル基板ではない。良かった。
LCDの寿命は,20年位。
3.AGCの時定数を変更。S1.5秒,M1秒にした。
Mr.Dallas LankfordのAGC改造とAF入力抵抗変更をした。
4.SSBフィルターの変更。
3.2kHzのフィルターはやはり広すぎと思う。7, 3.5MHzのローカルQSOを聞いていると混信する。通信用には2.1/2.4kHz位が最適と思う。
考えた末、2.3kHzのコリンズMFにした。これは、ヤエスFT-817,857,897用のYF-122Sです。最新の10ポールのMFで損失も少ない。
帯域は、-3dBで2.2kHzと発表されてる。スペアナで見たところは、2.4KHz/-6dBだった。
受信機でBFOは中心周波数から+-1800Hzに設定する。これでは低音がうまくでないようです。
BFO周波数が+-1.8kHzで幅が3.6kHzだから3.2kHzのフィルターか2.8kHzが良いようです。
3.2kHzのフィルターでは、200から3.4KHz、2.8kHzのフィルターでは、400から3.2kHzとなる。
これでいくと2.3KHzでは、600から2.9kHzとなる。・・300から2.6kHzにしたい。
CWにしてBFOを+-1.5kHzにする。周波数の読みを1.5kHz増減して読む。 めんどくさい。
At left side, put Collins Mechanical filter
YF-122S. 右端の青いのが2.3kHzのコリンズMF
ヤエスYF-122S Spec 使用素子 XF-199SN 526-8739-010
中心周波数 455kHz
通過帯域幅 2.26kHz -6dB
減衰帯域幅 4.6kHz -66dB
構成素子数 10素子
Loss 5dB from
Rockwell Collins Torsional Mechanical Filters HP
スペアナでチェックしたら帯域内のポップが7個で裾の減衰用に3個使っているらしい。減衰率はSpecより良い。
新しいコリンズMFのSpecはここで
2008.3 周波数の読みがシンメトリカルのフィルターだと面倒なので単独のLSB/USBフィルターに替えた。
RA6790/GMと同じフィルターに変更した。
これは、LSBが526-9939-010、USBが526-9897-010のコリンズのMFです。
CB用に使われたらしく結構ヤフオクでも出ている。出てるのは、LSB用だけ。
USB用を手に入れるのが大変。結局ネブラスカで手に入れた。高かった。
最終?の状態右からUSB用,LSB用のMF
FL1には、LSB用を入れるがアップコンバージョンなのでサイドバンドが反転するのでUSB用になる。
負荷コンデンサーは、取り説の指示どうり330pFを入れた。
総合特性も350-2600Hzとなっている。
2000年のカタログよりBWは、1.95kHzとなっている。HF-281,HF-282用だそうです。
5.RA1792、RA67xx受信機でAFにRFの回り込みノイズが入るらしい。
フラットケーブルで基板間を繋いでいるのでシールドされてない。
U26の9pin,10pinの間に1nFを入れると良いらしい。(From Premium RX)・・未だやってません。
MFと負荷コンデンサーについて
HARRISのRF-590のIFフィルターの図面を見るとコリンズのMFの負荷コンデンサーは
次のようになっている。
3.2kHz 270pF LSB/USB用
0.3kHz 180pF
1kHz 110pF
3.2kHz 360pF AM用
6.8kHz 750pF
16kHz 1200pF
これで行くと上記の2.3kHz MFは負荷コンデンサー270pF位かな。
0.3kHzが180pFで1kHzが110pFとなってるのは?よう解らん。
クリスタルフィルターについて About Crystal filters
使用しているクリスタルフィルターの内部を紹介する。写真は、JA2AEVさん提供(all filters photo courtesy of
JA2AEV)
inside of 16kHz filter, using LC circuit
16kHzフィルター、LC素子を使っている
inside of 400Hz CW filter, using 6 crystals
CW用フィルター、6素子構成
inside of SSB filter, using 16 crystals
SSB用フィルター、16素子構成
メカニカルフィルターについて About Mechanical filter
国際電気の300HzのMFの内部構造
Inside view of Kokusai 300Hz mechanical filter
国際のMF 455-03AZの内部写真 Kokusai MF 455-03AZ
これを見ると最新のコリンズと同じトーション共振構造になって居る。
内部にウレタンのクッションは入ってない。
Inside view of Collins mechanical filter from HP
コリンズフィルターサイトから
Torsional mechanical filterの内部構造図
国際電気のと同じ構造ですね。
Links