知と愛

なんだかこの邦題はとっても文学的ですね。


修道院、良い響きだ・・・。
こういうこと言ってる時の僕ってのは、全く文学的な人間じゃあないなあ。
いつもの如し、脳の半分では大真面目に
もう半分では完全に趣味に走って超邪に
読みましたとも!!


僕の言いたくて堪らない部分の為だけに
ざっくりと、歪んだ感じで内容をお届け。


これは僕にとって、二人の友情の物語ですね!!
一人は
糞美人(クールビューティー)な学者肌の少年見習い僧ナルチス
もう一人は
ナルチスよりちょこっと年下の、これまた美人な新入生、ゴルトムント
主人公はゴルトムントの方で、カメラは彼の傍に付いて回ります。
さてさて
ナルチスは矢鱈滅多に賢いので、若いけど、助教師として生徒達を教えております。
助教師・・・何処となく甘美な響きだ〜。
す、素敵な先生!!
ときめくゴルトムント。
しかしときめいていたのは彼だけにあらず。
ナルチスもまた彼に惹かれていたのです。
ナルチスは真の友達が今迄、全く居なかったのですが
ゴルトムントとなら親友になれそうだ、と思うわけです。
と同時に
ナルチスの類稀なる才能が
ゴルトムントは此処(修道院)に居るべき人間ではない、ということを見抜いてしまうのです。
出生の云々とか外界の娘さんとの云々とか
色々ありまして
ナルチスの導きも手伝い
ゴルトムントは決心して、修道院を出てゆきます。
悲しいかな!!
これより先はゴルトムントのことばかり。
ナルチスを可愛がっていた僕には大きな痛手、ぐううう。
再登場を願って、仕方なく読み進めるしかない。
さあ、ゴルトムント。
誰からも愛されるような明るい少年。
勿論モテます。
行く先々であらゆる女性と関係を持ちます。
元気いっぱい!!
各地を放浪しながら、飢えたり、人を殺したり。
そして芸術に目覚めたり。
彫刻だ!!
ペストの流行を目の当たりにしたり
やっぱり女性絡みで問題を起こしたり
で、捕まって、生命の危機に面した時でした。
(僕が)待ちに待った、ナルチスとの再会です!!
助命され、ナルチスが院長となった修道院へと帰るゴルトムント。
其処でまた彫刻してみたりするけれど
またしても女性絡みで、今度は本気でやらかしちまった〜。
馬から落ちて瀕死に。
なんとか戻って来たけど、こりゃ助からん。
そんな死に際の友に、ナルチスは、ずっと昔から抱いていた想いを打ち明けます。
ゴルトムントは
おい、お前そんなん言い残して死ぬなよ!!おい!!お〜い!!
な台詞を吐いて死にやがります。
完。


我ながらなんて偏った内容の解釈なのか。
上では一切触れませんでしたけど
この物語の主人公であるゴルトムントは、終始、の面影を捜し続けていて
の究極形というか
生とは死であり、死とは母の誘い、みたいな境地に到達。
愛に生き、愛に死んだ、というか
母を追って死んだ、というか。


原題は、ナルチスとゴルトムント
邦題である知と愛というのは
二人を言い表す漢字に置き換えてみた、ってんでしょうか。
この邦題が僕に、小難しい哲学小説なんじゃないのか、と疑わせて
なかなかこの本を読ませなかった。
読んでみたら、なんと素敵な表現の湧き出る泉なのかあいや〜うっとりだね!!


僕は兎に角ナルチスが好きでして
最後も
うおい、ゴルトムント、こら、ナルチスを一人ぼっちで置いていくんじゃあない!!

死にゆく者に腹を立てる始末。
だって、ナルチスはどうするんだい?!
これからこの子はどうなるんだい?!(この子っていうような年でもないだろうけどよ!!)


僕が自らの言葉で語らずとも良いか。
ゴルトムントは金髪系の人懐こい少年で
ナルチスは黒い目をした冷たげな少年なのですが
何度も繰り返し、僕好みの表現を有難う!!
あの世で会うことがあるなら、ヘルマン・ヘッセに感謝の意を伝えなきゃ。


ナルチス表す素晴らしい表現の数々↓

この神童に、気品のあるギリシャ語を語り
騎士ふうの、非の打ちどころのない挙措をし
静かなしみとおるような思索家のまなざしと
美しくきりっとした輪郭の細いくちびるとを持った美少年に。

ーまた非常に高貴で優美な点でー

彼がひどく静かで自制しており
宮廷ふうの作法を身につけている点をー

ナルチスは黒っぽい目を半ば閉じたので
目は長い黒いまつげの下に隠れてしまった。

ー学者のように真剣で、王子のように上品な、驚くほど若い先生がいた。

自制した冷静な、きびきびした心服さす声だった!

きりっとした、しなやかな姿、冷たくきらめく目
はっきりと、しっかりつづりを形づくる、ひきしまった口などを見
空をかけるような疲れを知らぬ声を聞いてー

その高貴さのために孤立していた彼はすぐー

ナルチスは暗くやせていたのに
ゴルトムントは輝くようにはなやかだった。

ナルチスは思索家で分析家だったのに
ゴルトムントは夢想家で、童心の持ち主であるように見えた。

ー美しい、すぐれて聡明な先生をー

ー賢すぎて博学で明敏なナルチスー

少年が予想していたよりはるかに多くナルチスの考えは少年のことにかまけていた。

嘲笑を浮かべがちな細い口をした賢いナルチスが。

ーこのナルチスはなんときびしく、びくともせず、はっきりしていて
仮借ない人物であったろう!

ー相手を冷笑したり、いいかげんにあしらったりするのは、常のことであるらしかった。

愛するということは、彼にとっては自然の状態ではなく、奇蹟だったのだから。

上品な、やさしくて同時にきびしい、やせた白い両手を。

指は広い僧衣のそでから細く幽霊のようにのぞいていた。


・・・。
きりがないな、めんどくせ。
やめたやめた。
台詞一つ一つにしたって、僕好みの訳され方で嬉しいものさ。
ナルチスがゴルトムントに抱く感情やら、彼に対する所作にも
いちいちうっとりな表現が多くてね!!
参ったな!!


登場シーンは、真ん中すっぽり居ないから、そんな多くないのだけど
登場すると、彼を取り巻く単語一つ一つが
暗く輝いているのであります!!


台詞を抜粋するなら殆ど全てになってしまうからな・・・。
特に気に入っている断片を↓

「ーいや、ぼくの髪にさわらないでくれたまえ!
やめてくれたまえ!ぼくは我慢ならないのだ」


はっはっは、もっと触ってやれゴルトムント〜やれやれ〜。
って気持ちになりますね。


終盤、ナルチス再登場後ですね、なんかもう僕は堪らないですね。
なんか、しくしく。
昔っからナルチスはゴルトムントに深い深〜い想いを寄せていたのですけど
再会してからはそれがもう溢れんばかりで。
実際、溢れ出ておりまして。
ゴルトムントへの愛(この表現を僕が使うことには抵抗が、ぬう)で
場面が埋め尽くされているよ。
それを知ってか知らずかゴルトムントよ・・・
先に行ってしまうなんてええええええええええ!!
根性出して生きんかい!!


この作品の文学的価値やらに全く踏み込まずに終わりますけど
ヘルマン・ヘッセは本当に良い仕事をしたよ。
有難う、偉大なる先人よ。


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