ドリアン・グレイの肖像

美貌の、という表現は魅力的ですね。
よく、悪魔(堕天使)ルシファーの、天使時代の説明にくっついてますね。
美貌の天使ルチフェル。
良い響きだ・・・。
美しさを司る本人もこの上なく美しい、なんて素敵ですね〜。
美しいものを作りだすのが得意だなんて、可愛いな。


そんな、美貌の、という表現で彩られた青年の破滅を描いた
退廃、背徳、耽美小説
って凄いなこれ〜、一部の少女が目の色変えて飛び付きそうな売り文句。


何を隠そうこの僕も
わっひょいどんだけの美形っぷりなんすか〜わくわく
ってな気持ちで・・・いや、はっはっは。
でも読み出したら、参りましたよ。
主人公である美貌の青年、ドリアン・グレイよりも
彼の内にまだ眠っていたあれやこれやを揺さぶり、目を覚まさせた
良い声の誘惑者、ヘンリー・ウォットンのことが
気になってしまってね・・・。


そうなんです。
僕は美形が好きなんだが、それ以上に、妖しく気儘な自由人が好きなんだな。
誰彼構わずってわけじゃ〜ありませんよ。
描写によりますよ。
このヘンリー卿の描写は凄く、ハラショーに、素晴らしかったのですね〜。
うっとりですよ。
あ、髭ですか、髭、髭なんて!!
髭など、僕は知りませんよ。
僕は・・・駄目なんだ・・・髭は・・・美しくない・・・。
あれは一体何なんだ?
恐ろしい破壊者だよ、蔓延れば蔓延るほどにぞっとする・・・。
ってのは少し冗談です。
生えてるより生えてない方が美しいと思うのは確かなんですけどね!!
個人の趣味嗜好の問題ですよ。
だからヘンリー卿には、生えてませんよ。
僕の脳が生やさせませんでした。
人間ってのは都合良く記憶を修正できちゃう生き物ですからね
便利にその機能を活用させて頂きました。
良いとこしか留めておかず、更に伸ばして、育てて、こねこね、ねりねり
手製の偶像の出来上がりです。


脱線著しいお喋りこそ僕の真骨頂。
僕というか僕の家族は皆こんな感じ、だから
一時間もあれば十何種類もの話題を転々として、元々の会話の目的とか遥か遠く遠く。


ざっくりとした内容、行きまっしょいわっしょい。


画家であるバジル・ホールウォードは、ある青年に夢中でした。
(っつってもバジルもまだ青年と呼べるくらいの年齢のよう。)
絵のモデルをさせたり
兎に角、傍に居て欲しいと願っていた。
バジルには、性格や思考方向がまるで違う友人が居て
それがヘンリー・ウォットンというのだけど
(この人も青年と呼べるくらいの年齢のよう、ですが
既に妻帯の身)
お金のある暇人でしかも好奇心と研究心に溢れた、青春賛美の快楽主義者
一言で言えば、困ったちゃんです。
口が糞達者。
ヘンリー卿は、バジルのお気に入りである青年に興味津津。
バジルは卿にその彼を会わせたくないと考えておりましたが
無駄でした。
並外れた美貌の持ち主、ドリアン・グレイ。
美の化身であるかのようなこの若者、こりゃ面白いぞ〜。
卿の、巧みで難解で堂々巡りのような刺激たっぷりなお喋りに
ドリアン青年、心惹かれます。
ちょっときっかけを与えただけさ、ふふふ、そんな卿。
ドリアン、自分に目覚める。
僕ってなんて美しんだいこなくそ〜!!
まるで生き写しな傑作が仕上がり、バジルは絵を本人にプレゼント。
ぼぼぼ僕は老いて醜くなってゆくのに
この絵はずっと美しいままなんだ・・・!!
そんな・・・!!
絵が老いてってさ〜僕このままで良くね?
んなの現実で有り得ないに決まってんでしょうが〜そうだよね〜あっはっは〜。
のわっ。
有り得たっ。
ドリアンが、冷酷であったり非道なことをやらかせばやらかすほど
絵は醜く卑しく微笑するのです。
ドリアン自身は何年経っても青年の姿のまま(異常過ぎるでしょうが)。
絵は酷い有様。
こんなん他人に見られちゃ、ことですぜ。
隠せ隠せ〜でも不安だ〜・・・。
というか僕の内面こんな汚らしいの?怖っ。
その頃
綺麗ってだけじゃあもう取り繕えないドリアンの評判に、心配するバジル。
久し振りに二人は会ってお話します。
で、遂に
見るもおぞましい邪悪な絵を、描いた本人であるバジルに
大公開、じゃ〜ん。
う、嘘だろ、これが・・・でも確かにこの筆致は・・・ごくり。
ドリアン泣いちゃった。
そうだよ。
そもそも貴様がこんな絵を描くから!!
ぶっしゃー。
ドリアンはバジルを殺害してしまいました。
死体は脅迫して知人(元親友)に消して頂きました。
墜ちるとこまで墜ちてしまった・・・。
ドリアンは少しでも善い行いをしたいと考え始めますが
どことなく、ずれている(天然なのか?)。
それでも、善いことしたぞっと自賛してるのに
ヘンリー卿に、それは違うよと言われて、落ち込む。
もしバジルを殺したのが僕だったら、なんて話しだしてみますが
んなわけないね、と卿は一蹴。
そんなあどけない少年の顔をした殺人者など居るもんか、ってなことだ。
バジルは行き先を告げずにふらりと何処かへ行くことが前にもあったしね。
卿は相変わらずだなあ。
善い事するぞ的な気持ち芽生えたし、寧ろもう行動に移したし
ドリアンは甘い希望を微かに抱きつつ
絵にある邪悪の印が薄れていることを願いながら
再び肖像画とご対面。
駄目だ〜。
全然駄目だ、酷くなってるよこれ〜も〜やだ〜。
畜生うおおお〜ん。
お、こんな所に、バジルをやってやったナイフだ、よし、これで
切り裂いてやれ〜。
ところが
刺し貫かれたのは
絵ではなく本物のドリアンの心臓の方でした。
その死体は、あ〜あ・・・な容貌で誰だこりゃだったのですが
指輪を調べてやっと、その身元が分かったのでした。
死体の傍にあった絵は
描かれたあの時のまま、若く美しく素晴らしいものでありましたとさ。


シビル・ヴェインの辺りとかなんも書いてねえや。
かっこいい名前ですよね、シビル・ヴェイン。
だけど、いっくら素敵な殿方の名前が分からないったって
プリンス・チャーミングって、凄えな!!
こっぱずかしくて僕なら口にできないよ、んな呼び名。


こっからは、ヘンリー卿の可愛さについてばっかり語ろうか。
すまんねドリアン。
だが君とて卿に心奪われたではないか。
ならば何を言う資格もあるまい。


先ず、ハリーと呼ばれているのが可愛い。
(外国ってのは不思議だ。ヘンリーでも充分に短いと思うのに、更に略すなんて)
ハリーって親しげ。
あんな性格なのに、ハリー。
可愛い。
背の高い優雅な若い貴族・・・僕でなくても惹かれましょう。
時間厳守は時間泥棒なり、と言って遅刻してばかりでも
なんだか許してもらえる、そんな愛嬌もある。
現実離れしたオリーヴ色(!)の顔と、やつれた表情・・・どんなだよ。
しかし良い。
良いぞ〜、良い要素だ!
黄色い手袋してるなんて、お洒落だ。
はあ〜そしてそして
夢見るような物憂い目つきって、甘美な表現じゃないですか。
そんな目をしてソファに深々と座って頬杖の一つでもついてる様を
はすかいから眺めまわしたいものです。
そしてとっても良い声なのですって。
低く響きの良い、物憂げな声って
勝手にキリアン・マーフィーの声とか浮かんできちゃいましたよ。
うわ〜これ良いなあ、そういう声、よし、それで行こう。
さあ、そして仕草
が繰り出される洗練された手、手です。
冷たく白い、花のような手。
恐れ多くも是非その手を取って
いやいけない、矢張り無理だ。
触れることなど到底できぬなあ。
で、しなやかに手を振りながら話す癖。
貴族ですねえ。
ステッキを携え、退屈そうに佇む姿を、一度で良いから見てみたいものです。


さて、彼と言えば
自分勝手な逆説多用の台詞。
何を言われても知的に素早く言い返す
これは神が与えたもうた才に違いありませんでしょうな。
そんな彼でも頭の回転の早い女性には苛々するようです。
言い負かされることはないのでしょうけど
しつこい上に面倒くさいでしょうし
考え方も大きく違えば
苛々するこってしょう。


ハリーの台詞は膨大な量(に感じる、内容が内容だから)で
いちいち抜粋するも難しいです。
なので彼が賢く、自信も備えているってのが伝わってくる
序盤の台詞を一つほど、ぺい。
ぼくの敵には愚鈍な人間はひとりもいない。
ぼくの敵はみんな大なり小なり頭がいいので、その結果
だれもが、敵であるぼくの美点を認めざるをえなくなる

ふむ。
清々しい奴よの。


物語冒頭の、バジルとハリーが喋ってる場面が好きです。
主人公まだ不在ですが。
ふたりの対照は微笑ましいばかり
とあるのも納得の可愛らしさです。
ドリアン目当てで読み始めた筈なのに
気付けば、ドリアン以外に惹かれて、あっちゃっちゃー。
こんなこと言って良いのか・・・
3人の中でドリアンが最もどうでもよかったくらいです。
どうでもよかないですが
それよか二人のが気になったのですもの。
バジルとヘンリー卿。
卿の関心がバジルよりドリアンの方に強く注がれ
ドリアンもまた卿に惹かれてしまった為
バジルはとっても寂しい思いをしたことでしょうね〜。
挙句、殺されちゃいましたし
浮かばれないなあ!!
ドリアンは
バジルが卿より善良だと分かっているし
優しくて良い人だと理解しているし
彼はちゃんとバジルを慕っていたのですがね。
卿というのがどういう人かも分かっていたけど
彼との縁は、死ぬまで続きました。
初めの頃
それとなく、卿との友情が長続きするよう望んで赤らんだ
恥ずかしがりの青年は
実際そのとおりに
最期まで卿とは付き合い続けていたのですね。


中身についてちょっとも喋ってないですけど、まあいっか!!
僕は、ヘンリー卿が好きだと言いたかっただけです。
他の作品についてもそうですが
僕があれこれ言わずとも
見れば分かる読めば分かるという代物ばかりなので
僕は僕の言いたい事を言えば良いわけです。
すなわち
卿を好きだと言ってれば、それで良いわけです。
オスカー・ワイルド、有難う!!
貴方は良い人物を描かれました!!


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