燃えよ剣

歴史ってえのは
どれだけ信頼できる資料を集めてみたところで
結局は分からないものですよ。
間違いの無さそうな、確実そうな事柄も
事実であったかは本人のみぞ知る世界。
本人が書いたのだからこれはきっと信用できる、というのも果たしてどうか。
研究している人々や専門家の方々は憤慨するやもしれませんが
誰かが残した書物や手記や、それら全て
真実であるかは謎の謎の謎です。
(真実であったかどうかを探るのが研究ってものでしょうが
答えなんてもんには初めから辿りつけないようになっている気がします)
ましてや誰それの胸中のことまで分かろうなど、出来得ないことに思えます。


そういうわけで、ではなく、性分で
僕は歴史について調べたり詳しくなったりしないのであります。
いや〜昔っから
すんごい好きなものに対しても、それ以上知ろうという意思が生まれなくて。
現状で充分幸福なのである、と。
狭い小さな脳の部屋は、こいつが好きだなあ〜って熱情だけで満員になっちゃう。
僕は漫画も小説もゲームも
それはそう、としか捉えない。
(だからつまり、幾ら戦国無双の明智光秀を好いていても
歴史上に登場する明智光秀を好いているってことにはならないし
それとこれとは別問題だと考えているってことです)
物語とそれに登場するキャラクターを楽しむ、それだけ。
それで良いんです、僕はね。


で、一つの物語として読んで、大変熱くなりましたのが
この「燃えよ剣」。
熱い。
燃えているのは僕の心臓だ!
何度読み返しても、熱くなり、感動し、うおおお〜ん、となる。
今回読み返したのは
「お〜い!竜馬」をとある御仁からお借りして全巻読みまして
漫画ってことと年齢的なことと、で今までより幕末のあれこれの仕組みとかに明るくなり
(たとえば小学生の頃は長州薩摩っつっても
坂本竜馬が手を組ませた、ってくらいにか認識しておらず
また坂本竜馬っつっても、それを成した人物、くらいにしか考えていなかった
し、その時はそれで充分であった)
それを踏まえてこの小説を読めばまた色々面白かろうな、と思ったので。
実際、面白かった!
更にプラス要素として
前に読んだ時は戦国時代の知識が皆無(そりゃあもうすっからかん)だったのですが
今回はその部分も多少微塵は埋まっておりましたので
一層楽しめました、いえ〜い。


「燃えよ剣」は
(ファン獲得数も尋常じゃあないでありましょう)新撰組、の副長
土方歳三を主人公に
彼がまだ無名で、田舎で喧嘩ばかりしてた頃から
革命期の日本で、戦いながら死んでゆくまでを
凄絶に!時に物悲しく・・・しかし鮮烈に!
描いた小説、こんな説明で良いのか?!まあ良いか!


なんかかっこいいですよね、新撰組。
あの爽やかで可愛く忘れ難い隊服は、多くの歴史齧ってるさん達の憧れの的でしょう!


小学生の頃、「るろうに剣心」が好きでした。
(なんとまさかの)アニメから入り、ジャンプを読みだし
コミックス集めましたね〜。
しかも姉と僕で別々に集め、家には2冊ずつ置かれていた・・・何故!
僕と姉は当時、漫画を分担して買うようにしていて
より好きな方、或いはそれを先に発掘してきた方が集めるようにしておりました。
僕等は仲が険悪ってんでもないし
お互い、漫画は自由に読めたのですが
僕はどうしても自分専用「るろうに剣心」が欲しかった・・・!
そんだけ好きだったんですね〜。
一つの鞘に二つの刀!小太刀二刀流!かっちょええー!
新撰組との出会いは、此処に登場する人物、斎藤一から。
(斎藤一といえば、副長助勤三番隊組長、である)
彼と言えば牙突。
一にも二にも牙突。
糞かっこいいんですから、当然、牙突ごっことかしました。
もう一人。
この漫画においては数コマしか出て来なかった、沖田総司
瀬田宗次郎と瓜二つじゃねえか!な見た目ですが
なんとなく僕は宗次郎より沖田が気に入っていた。
(そういや沖田総司の幼名が宗次郎だったかなあ・・・だから似てるのか、納得納得)
もっと出ろよ〜と思いながらも
ちょっとしか出ないのがまた良い、と考えたり。
やっぱ出会いと第一印象は大事ですね〜。
今でも斎藤一、沖田総司といえば、此処に出て来る彼等の像が浮かぶのですから。


新撰組に興味を覚えた僕は「燃えよ剣」を手にします。
読書ってもんが苦手で睡魔と親友だった僕ですが
これは読めた!
文庫サイズで上・下とある長編を!読めた〜!!
面白かったからね!
漢字を読むのに苦労しましたが
読めなかったら読めなかったでどんどん先へ進むのが僕なので
嫌気がさすようなことはなかったのでした。
この頃と今と、感動するポイントが同じ(増えはしましたが、減りはしなかった)。
変わんないなあ、僕って。


その後、友人が「PEACE MAKER」「PEACE MAKER 鐵」を貸してくれました。
これは新撰組がメインで、主人公も、土方歳三の小姓でして
「燃えよ剣」を読んでいたので
なので、この小姓、市村鉄之助のことも知っていたし
絵も綺麗でしたけど
急にSF的な何かがちらつき
そして続きはもう描かれないのかなあ??


さあそろそろ「燃えよ剣」自体のお話をせねば!


実は元々は沖田総司を目当てに読み始めた、困ったさんな僕でした。
先述のとおり「るろうに剣心」から入っているので
沖田総司イコール可愛い(そのうえ剣の天才でしかも病持ちとは!)
イコール俺はお前が気になるよ!
ってな状態でね。
書店でぱらぽら立ち読みしたら
司馬遼太郎大先生の、沖田総司に関する描写が可愛くて!
よし、読もう。
即決、お買い上げ。


でも読みだしたら、主人公の土方歳三に惹かれ惹かれて。
どうしようもなくかっこいいものですから。
実際、残ってる彼の写真はかっこいいですし
もう惚れるしかないわけです。
武士
というのは戦国乱世に生まれれば、また乱世と共に散りゆくもののようです。
時は幕末ですが。
・・・う〜ん、何をどう言えば良いのかいよいよ分かりません。
この熱さをどう表現したら。


土方歳三は何事も我流我流の、稀代の喧嘩師として描かれております。
小説の頭あたり、まだ芋道場の一剣客に過ぎなかった頃の
他流儀との喧嘩やら何やら
それも面白い。
すぐに地図を書き(それも精巧な、かなり上出来のもの)、作戦を練る。
勝てる喧嘩をする。
その為に下調べや偵察を怠らない。
無理な喧嘩はしない。
引き際も心得ている。
決断力に優れ、度胸があり、足も速い。
僕は夢中で、この主人公から目が離せなくっている。


新撰組といえば土方、沖田、そして局長近藤勇
ほんのちょっぴり齧った程度の新撰組好きさんは勿論、そうでなくても
この3人の名前は知ってる率高いのでは。
新撰組の核ともいえる3人ですが
皆、天然理心流の剣の使い手達です。
他にも色んな流儀があるし、道場もある、とすれば
当然ばちこら戦いもあるのです。
甲源一刀流塾頭(っつっても元々はその流儀の者ではない)、七里研乃助
彼と歳三との喧嘩縁みたいなものは
(読んでる分には)微笑ましい。
二人とも喧嘩好きなんでしょうな、といった風に。
結構後々までしつこく関わってくるこの七里が、僕はなんか好きだよ。
軽い感じとか。


桂小五郎もちゃっかり登場。
何故ちゃっかりかって、なんか、ちゃっかりな感じがするんだもの。
僕は桂が好きだ。
初めてこれ読んだ時から、なんでか自分でも分からないんだけど。
七里が、竹刀曲芸の化け物、と表現しておりましたが
彼は素早く巧みで無駄のない動きができる者だったようですね〜。
敏捷鬼神の如し。
神道無念流塾頭、ちなみに永倉新八も神道無念流(免許皆伝)。
銀魂に出てくる桂は無駄な動きしかしてなさそうですが
「お〜い!竜馬」での桂はザ・俊敏です。
小柄でさささーっと動く無愛想な奴、って印象で
それがどうして好きなのか自分でも分かりませんが
なんか良い。
池田屋では、彼もひょっとしたら死ぬかなんかしてたかもしれません。
でもラッキーなことに、生きた。
集合定刻に行っても誰も居なかったから、暫くしてからまた来ようとその場を離れ
その間に他の者が続々集結。
桂が再び訪れるより先に、新撰組が襲撃した。
らしい。
これが本当なら非常にラッキー。
とはいえ同藩の者や多くを見殺しにせねばならない立場となってしまったから
ふむ、心中穏やかではいられませぬな。


攘夷
騒がしくなってくると、舞台は武州多摩の田舎からへ。
清河八郎芹沢鴨、邪魔者は消して、どっこいしょー。
近藤勇が率いることになった(歳三がそのように持っていった)新撰組。
あの戦慄の局中法度書(兎にも角にも切腹)や、この単語だけで胸躍る池田屋での戦闘。
歳三はこの組織を強くすることだけを考え、動きます。
自分の作品のように大切にします。
そうしてゆくうち
立場的に、無理な喧嘩でもひくことができなくなってしまったのが悲しいね。
天下の新撰組の副長として、という個人的にもそうですし
後々、喧嘩というか戦ですから
集団の中の一人としても。
負ける、と分かっていても前進あるのみです。


いや〜昔は攘夷とか言ったって難しい漢字だな〜としか・・・うふふ。
藩の持つ気風みたいなのと共に
攘夷、尊皇攘夷公武合体倒幕佐幕などなど
今回は、以前よりもちょこ〜っとだけ理解できてて
人名も僅かばかり前より、おお、こいつがそれであいつが、と・・・
楽しかった!
新撰組は幕府側に付き
幕府が大政奉還しちゃった後も奮闘するんですね。
当時の革命家や政治家や、活発に動いた皆さん、各々思想がおありだったことでしょう。
でも、この土方歳三にゃそんなもんは特にない。
なんも考えてないってんじゃないけど
う〜ん・・・
義、じゃあないでしょうか(何を言っているんだ、私は)。
と真田幸村風に答えを見出そうとしてみました。
つまるところ
彼は武士だった、というそれだけだったのですね〜それ以上の言葉は必要も無いでしょう。


山南敬助脱走
局長の下、副長の上、彼は総長、こんな幹部が逃げたとなれば大事件。
歳三は山南と仲が悪く、憎み合っていたようなもので
あの沖田でさえも
山南はお前が憎くて脱走したのだ、と歳三を責めた(やんわりと)。
その時の歳三の言葉が僕は好きなんだな〜。
この時に限らず、彼の言う、組織の動かし方やまとめ方やあれやこれやは
納得納得のな〜るほどなものばかり。
歳三は皆から憎まれている、が、局長近藤勇は父のように慕われている
それで良い、そうでなくてはならない
嫌な命令は副長の口から出る、副長が全ての憎しみを被る
局長は神物のように、良い子にしておく
もし副長が良い子になりたがれば、嫌な命令も局長の口から出ることになり
局長は隊士の信を失う
隊はばらばらになる
そういうわけです。
さて
山南という人物。
江戸へ帰る、と行き先を書き残していたり
追手である沖田を自ら呼びとめたり
流石というか、なんと爽やかな御仁なのですかね。


山南と同じ北辰一刀流伊東甲子太郎が新撰組へやって来ますと
(これまた同じく北辰一刀流の藤堂平助の手引きによるものだけど
平助はこの甲子太郎に新撰組を乗っ取らせようと考えていた・・・うおおお〜)
甲子太郎人気が、ぐぐーん。
山南の脱走と切腹、そしてその弔いに甲子太郎が作った歌が
隊士に波紋をじわじわ〜。
新撰組は割れてしまいます。
許すまじ、ってわけで甲子太郎も消しました。
しかし
時代の流れまではどうすることもできない。


歳三はよく沖田と話している。
隊内で恐れられている鬼の副長も、沖田にとってはちっとも怖くないのだ。
それどころかいつもからかっている。
歳三も、近藤には言わないようなことを沖田には打ち明けたりする。
沖田という青年には、訴え仏のようなところがあるそうだ。
山南は沖田のことを
神がこの世にさしむけた童子のようだ、と言っている。
明るく、いつでも澄んだ微笑の、不思議な若者。
沖田と歳三の会話は微笑ましいものが多いのですがね〜
物語も後半に差し掛かった辺りからは
何やら切のうなってきましてな〜・・・うう。
病床の沖田の傍で、歳三が、恋人であるお雪に手紙を書く場面。
遂に突っ伏して泣いてしまう歳三に
俺もブーフーフーだよ。


新撰組といえば池田屋、からの脱却。
初めて読んだ時、そんな気分でした。
鳥羽伏見の戦い
近藤が銃弾に倒れ、沖田と共に護送されると
とっても寂しいね!
いつも傍で返ってきた言葉ってのがなくなってしまうのは、酷く寂しいものです。
開戦を待つ日暮れの場面(場面というほどのものでもない数行)が
僕は好きだ、ぐっとくるんだ凄く。
さあ、鳥羽伏見の戦い。
この戦いが熱いのは、規模的なものもあるし
が大いに用いられている、というのが
熱い。
僕は白兵戦好きで(読むに限るけどね!)
銃なんて反則、砲なんて論外、って気持ちもあるのですが
しかし熱いのだ!
銃弾の雨の中を駆ける隊士。
林権助老人の戦いっぷり。
本陣建物が燃えさえしなければなあ・・・!不幸だ・・・!
この戦闘で、今まで細やかに活躍しまくっていた監察山崎烝が負傷。
その後、化膿がひどくなり、帰らぬ人に。
本当によく働いたよ君は!
ああ、本陣奉行所の火事さえなけりゃあなあ・・・!
勝てる戦だったのだ!
それと、幕軍の戦意も問題だったようです。
新撰組と会津藩は必死に戦ったのですが、むう、その他の野郎どもおおお〜!
(色々あるんでしょうけど、外人さんにまで腰ぬけと思われてたなんて、よっぽどだぞ)
戦意もなけりゃあ意気地もない、こりゃお手上げだぜ。


新撰組は関東に戻り、今度は惨敗。
新撰組は、気付けばなくなってしまっていた。
芋道場時代からの仲間であった永倉新八原田左之助らとも
此処で別れる・・・ブーフーフー。
あんなに一緒に居たのに、此処で!
沖田が寝込むようになってから、一番隊と二番隊の組長を兼務していた新八。
物語中の戦闘場面では毎度、重要な働きを見せてくれておりました。
すばしっこそうな感じが好きだなあ、僕。
不敵な感じとかも。
左之助は序盤から良いキャラクターとして扱われてたよ。
こんな別れは悲しいなあ。
歳三が、新撰組はもうないのだから皆それぞれの道をゆこう、と
左之助の肩を叩くと
彼は急にしょんぼりしたのです。
左之助がしょんぼりするので、僕までしょんぼりんなっちゃった。


更に、近藤との別れ。
近藤は負傷からは回復したものの、新撰組全盛期の時とは変わってしまっている。
元々そういうややこしいことは不得手であったろうに
政治やらに関わって(好きと得意は違うって奴っすね)
そして時代も変わってしまった。
彼は降伏すると言いだし、歳三は泣いて止めたが、彼は行ってしまった。
そしてその後、斬首
の汚名を残したくないと願った近藤と
自らの信ずる美しさの為に生きて死ぬべきだと考えた歳三。
歳三はかつて沖田に
近藤がどう思っていようがどうなろうが、彼を助けるのが自分の役目である、と
けれども
近藤が自ら新撰組を捨てる時、それが自分と近藤との別れの時である、と
語っておりました。
なんだかそのとおりになってしまった!
いや、それでも歳三は近藤を助けようと奔走したのだけど
ただ兎に角、立ち止まらなかったんだね。


もう一人、沖田の死。
その瞬間は誰も傍に居なかったようで
誰にも看取られずに、死んでしまった。
病み衰えてもなお明るく、冗談ばかり言っていた若者は
近藤の死の報も知らず
一人、逝ってしまった。


歳三は転々と戦い続け、新撰隊を率いていた。
副長は、斎藤一。
これも無類の戦好きなのか、目を輝かせて歳三に付いて来た。
そういうこともあって、僕はこの斎藤が好きだ。
僕って単純だからね。
舞台は北海道、遂に先っちょの方まで来てしまった。
歳三は斎藤と、同じく新撰組時代からの松本捨助とを
北海道から脱出させてしまいます。
二人は、あんたは正気かと尋ねますが
隊命に背けば斬るという法度を忘れたか、と言って有無を言わさず了承させてしまったのです。
此処までついて来てくれた二人を死なせたくなかったんでしょうね。
僕は単純だからそう思っておきます。
つまるところ、もう死が、とても身近な所に来ていると分かっているから、かなと。
共に闘うは旧幕府海軍副総裁榎本
この者の楽天家的な部分が、近藤に似ている、と歳三は思った。



新撰組も末期末期の頃、近藤が負傷してから、兵を募った時
小姓の市村鉄之助がと共にやって来た。
当時十五歳
猫の手でも借りたかった頃で、沖田に似ている、という理由で採用された。
歳三はなにげなく言った
というより自分に言い聞かせる為の言葉であったのだけど
あの沖田に似ている、というのが鉄之助の自慢になった。
それで沖田の看病にも熱心で
沖田の気遣いに感激し
ずっと歳三に付いて来た。
どの戦いでも勇敢であった。


宮古湾海戦
甲鉄船ストーン・ウォール)を丸奪りしてやろうという戦い。
歳三は回天っつー船の上。
艦長甲賀源吾がまた好人物。
さて
ストーン・ウォールに並行して、回天をの字にくっつけたかったのに
の字になってしまった、これはとんでもやばい。
しかも、回天とストーン・ウォールの甲板の高さが一丈ほども違い
飛び降りれば脚を折ってしまう可能性が高かった。
無理だ、と歳三は思い、甲賀源吾も同様であった、けど
やるより他ない。
新撰組からの野村利三郎が此処で死んだああ〜。
敵の機関銃ガットリング・ガン)も稼働し、凄まじいことになった。
ガットリング・ガンっつったら、「るろうに剣心」読んでた時に
無茶だ〜そんなもんに立ち向かうなんて無茶だよおおお〜、と
幼なながらに脅威に思っていたあの、それである!
敗戦。
負けた・・・!


もはや歳三の未来には死のみがあった。
年若い市村鉄之助に、自分の故郷の方へ行くよう命じた。
鉄之助は泣いて拒んだけれど、遂には引き受けた。
歳三の佩刀、和泉守兼定を持って。
この和泉守兼定を売ってくれた老人も印象深かった。
盲人であったけれど、歳三が只者ではないと思い、いわくつきの刀を差し出した。
それが思い出されて、この刀との別離もまた悲しくなってくるのでありました。
思えば、この物語のもう一人の主人公でもあったような気がしますね。
歳三の青春は、この刀と共にあったのですから。


五稜郭
歳三は亡霊を見ます。
近藤、沖田、井上源三郎、山崎烝、何人もの同志達。
夢を見ていたのか。
沖田が寝そべっていた床に、人肌の温もりが残っている。
沖田の真似をして寝そべってみる。
(総司のやつ、来やがったのかな)
うう・・・うおおお〜ん。
涙で先が読めないよ!
下巻は酷い。
僕の顔が酷い。
鼻水と涙のオンパレードだ〜。
この夢の後、歳三は新撰組の生き残りを集めて酒宴を開いた。
京都以来の最古参は、島田魁ら数名で
あとは伏見以降の徴募で参加した者達。
翌日、彼等は一斉に異動になった。
全員が総裁榎本付になっていたのでしたあああ〜。
ぶわわああ〜ん。
引き続き泣いている俺はティッシュを尋常じゃなく消費してしまった〜。
榎本は降伏するんじゃないか、と歳三は考えていたのですから!

彼等は!
新撰組として死ぬのだと言って、ついて来るのでありましたああ〜!
函館へ!
ぐおあああああああああ〜うおおお〜ん。
涙の国へ連れてゆかれる〜。
うわあああ〜ん。


歳三は死んだ!
新撰組副長土方歳三として。
市村鉄之助は土方家を訪ね、仏壇を拝ませてほしいと言って、通されると
「隊長。――」
と呼びかけ突っ伏して泣いたそうだ・・・ああ〜。
勿論さ!
俺も泣いたね!
彼はその後、西南戦争にて戦死。
最後にあるお雪についての文がまた静かで
なんと美しい終わり方なのか!と思った。


ふむ〜。
熱かったな〜。
司馬大先生の文章は読み易くて好きだ。
台詞のリズムも綺麗だし、どの人物も活き活きとしていて、思い入れが生じるよ!
余談を余談と言いながらぶち込んでくるのも素敵だ。
何より、主人公の土方歳三がかっこよくてしゃあなかった!
お雪の前で見せる心弱さも含めて。
いや、歳三以外も、身震いするほどの奮戦ぶりで
己が信ずる道をゆくべし
と思った・・・熱いね!
号泣しながら読んでるんだからもう情けないんだけど
泣かずには居られないよ〜ぶおおお〜。


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