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安らかな寝息
パパとママは眠ってる

魔法使いのおじさんが言う
それは狂気だ、と

僕の代わりに返事をした
知ってるよ
玩具の兵隊が敬礼する

知っている事をわざわざ言いに、彼は来た
素っ気ない返事
だけどそうじゃない

喉の奥では次から次へと、言葉が生まれて渦巻いている
開く事の無い遮断機の前で、待ち続けながら消えてゆく

玩具の兵隊、守ってあげて
もう泣かないで良いように
僕じゃない誰かがまた
張り裂けないで良いように




      同じアパートの子供達は、揃いも揃ってキャンディショップへ

      ざまぁみろだね

      皆、親にこう言って出掛けた

      「キャンディショップへ行って来る」ってね

      在りもしないのに

      在りもしないのに、何処へ行くって?

      困らせてやれ

      ざまぁみろだね

      初めて疑うのさ



                                                                     覚めない夢を泳いでいられる

                                                                     なのに皆が揺り起すんだ

                                                                     目を開けるだけで息が詰まるよ

                                                                     この世界で沈まず居るのは、酷く難しい

                                                                     何より息が保たないんだから

                                                                     どうすりゃ良いんだろう?

      考えた事あるかい?

      今よりずっと制限された日々なんて

      耐えられるかい?

      出来っこないね

      まだ間に合うなら

      飛び出したいけど

      もう間に合わない

      飛び出したいのに

                                                                     崖っぷちでのピクニック

                                                                     僕等、生きては帰れない

                                                                     崖っぷちでのピクニック

                                                                     僕等、自ら落ちていく

                                                                     幼い頃に母から聞いた白い呪文が背中を押す

                                                                     崖っぷちでのピクニック

                                                                     僕等、生きては帰れない

                                                                     あとは落ちるだけ

                                                                     見守られながら

                                                                     あとは落ちるだけ

      外れくじを引いた
      当たりは別の子で、僕は違う、外れだった

      これは例え話で、今そんな気分だって事
      どうでも良いけど
      君ん家の壁紙、悪趣味だね

      要冷凍
      現状維持と絶対保管
      両手両足きつく縛って
      冷凍庫に、さぁ、入れなくちゃ
      暴れ出さない内に
      おとなしい内にね

      ああ、でも注意は必要
      特に君ん家の壁紙は
      バリケードなんか作ってみたら?
      警備員でも雇うとか
      本当どうでも良いことだけど
      君は当たりを引いただろ


                                全自動なんだ、全自動なんだ、僕が何もしなくたって

                                全自動なんだ、事は運んでく

                                僕は眼だけをぎょろぎょろ動かす

                                それを必死に目で追う、けれど

                                全自動なんだ、完結してる

                                この世のあらゆる全ての事は、全自動なんだ

                                全自動なんだ、勝手に走り去っていく

                                全自動なんだ、逆らえっこない

                                全自動なんだ、僕は歯車

                                全自動なんだ、この世界中、全自動なんだ

                                僕はちっぽけ、ゴミ屑みたいに小さい、小さい

                                逆らえっこない、逆らえっこない

      完成されない家の中に居る
      居たくないけど
      出るのも怖くて
      二つの意味での怖さがあって
      二つか四つか
      もっと沢山
      周りに散らばる紙の切れ端を
      集めては焼くを繰り返している
      酷く落ち着いていくのが分かるよ
      心拍数も正常になる

      君は黙れと言ったよね
      僕は黙っているじゃあないか
      それもさっきから
      ずっとずっとね
      何も喋っちゃいないじゃないか
      けれども君は黙れと言った
      黙っているよ
      黙っているさ
      何か一つでも喋れっこない
      ライターの日だけ見詰めているさ


                               インクが滲みきるより早く対処しなければいけない

                               例えば大事な書類でも、地図でも遺書でも絶対に

                               貴方にはそれが出来るのか

                               貴方にはそれが出来るのか

                               貴方にはそれが出来るのか

                               表面を滑るように侵し染める、鮮やかに

                               見惚れている、手が止まる

                               催促のベルが鳴る

                               真新しい布を当てて、対処しなければいけない

                               貴方にはそれが出来るのか

                               皆、見ている


      会話が出来ても出来なくても、コミュニケーションは難しい

      皿の上に乗る林檎も蜜柑も、本物だって確証は無い

      砂漠に住んでる狐の一種で、あの子も参列者の一人

      並んでいるのを見た事あるよ

      パパに連れられ並んでいたけど、やがては自分自身の意思で

      自分で列に加わる日が来る

      目配せ出来ても出来なくても、コミュニケーションは難しい

      牛肉だろうと魚肉だろうと、コミュニケーションは難しい

                                                            スパンコールで飾り過ぎてる、君の靴は異様な形だ

                                                            脱ぐんだ此処で、脱ぐんだ早く

                                                            今、此処以外で、脱ぎ場は無いよ

                                                            自分とだけする会話はやめて、宇宙と手品の話をしよう

                                                            そしてさよなら

                                                            お別れを言えば

                                                            君はレディ

                                                            素敵なレディ

                                                            僕の大事な栗色の瞳は、どんどん広がり僕を呑み込む

                                                            だからさよなら

                                                            お別れをしなきゃ

                                                            スパンコールで飾り過ぎたよ

                                                            僕の靴は異様な形だ

      僕等が何を間違えたかを

      君が言ってみろ

      言ってみろ

      風車みたいにくるくる回る

      風さえ吹けば

      正体不明の雑音さえも

      君は従えて行進する

      彼が指折り数えてた頃

      君は美術館の中に居た

      風車は今日もくるくる回る

      息継ぎもせず

      風さえ吹けば




片目を瞑ってたって食事は出来るのに

君は何を戸惑っているんだ

全く聞き分けの無い子供みたいな空想で

ベランダ中を散らかすなんて

君のママは然も腹立たしそうに眉を顰める

僕にとっては大歓迎さ

それまで過ごしたどの時よりも

君の隣にしっかり寄り添う

両目を瞑って、君は笑った



      焼き上がっているよ

      得意なクッキーを焦がして、どうしたって言うんだろう

      声の届かない不気味な森に心がトリップしているのか

      壊れた鏡みたいに、僕をきちんと映さないね

      貴方はそっと出て行った

      頭が痛くなるほど悲しみと寄り添って

      僕と貴方は背中合わせ

      今度こそ隣に居たいけど

      帰ろう

      貴方の家は此処に在る

      帰っておいで、あと一度

      貴方の名前を呼ばせて

      帰っておいで、もう一度

      貴方はそっと、出て行った

                                                                        ホワイトボードの前、先生は手を叩く

                                                                        この子は可哀想なのよ、と

                                                                        慣れた手つきで肩を撫でつつ

                                                                        子供達の目を刺すように覗く

                                                                        窓の外には晴れた青

                                                                        澄んだ白

                                                                        不安になる色ばかり広がる

                                                                        見えない向こうのその先迄、今日はきっと

                                                                        晴れた青、澄んだ白

                                                                        吸い込まれたなら出られない

                                                                        晴れた青、澄んだ白

                                                                        胸に刺さった

      坊や

      出て来るのをお止しよ

      こうして沢山の愛がお前を待っている訳だけど

      坊や、考えて御覧

      お前、愛に埋もれて目が潰れるよ

      手足の自由も無いさ

      しっかり掴まえているからね

      愛がさ

      お前を見たがってるよ

      こんなに言ってもお前は止めない

      お前、知っているんだね

      それでも世界は美しいって

                                                                             見知らぬ淵で揺蕩うのなら

                                                                             ダダイズムの花、一つ、下さい

                                                                             蟠る事の無いように

                                                                             咲き分ける事のあるように




      比べてみて、不幸せじゃないと確認するのは

      良い事じゃないみたいだ

      だって、こんなにも気分は暗い

      2Hの鉛筆を噛み砕いた時の、甘い鉄の味なんだ

      ホームドラマの主人公を演じてるようで、まるで落ち着いているんだ

      目覚まし時計が叩き割られる音がしたって

      夢の中の出来事みたいで、遠い

      気分はとても暗いし

      どうしようもない事ばかり



                                                                  浴槽で飼う鶏のマーチ

                                                                  彼の背中はそれと会話する

                                                                  称号に押し潰された左手首の骨は外れっ放しで

                                                                  貴方にとっては他愛ない事も、苦になる

                                                                  頭痛の種は芽を出す前に刈り取れと

                                                                  本人に言ってみれば良い

                                                                  高く積んだ砦も、鉋一つで削り飛ばせると

                                                                  言えばどうなるのか

                                                                  貴方は分からないのか

      掲示板に貼りだされる事なんて有り得っこないし

      今がチャンスだ

      今しか無いんだ

      君の口の中いっぱいにシナモンの味

      何処へでもどうぞ

      突然、蹲んで体調不良を装う

      君ってどうかしてるね

      お構いなしのクラスメイトに、墓掘り名手のあの人、3人

      お構いなしさ

      君の口の中いっぱいに

      シナモンの味、サイダーの色

      這うようにして行く

      空を這うように

      這うようにして行く

      でも、何処かへ

                                                                 夢を見た

                                                                 それはそれは恐ろしい

                                                                 その世界でも、私は私だったのだけれど

                                                                 鞄の中に入れていた、リップクリームが二つに増えて

                                                                 家の廊下は厭に長い

                                                                 クローゼットの見知らぬ服や

                                                                 台所にある謎の機械

                                                                 外に出てみても異国の浜辺

                                                                 香る匂いすら違うと言うのに

                                                                 子供達の目は爛々と燃え

                                                                 あぁ、それだけは

                                                                 唯一、覚めても変わらない物


      そよそよ

      謝りたい気持ちが、風に靡いてる

      繋いでる紐を解いたら、君まで届くかな?

      風はあんまり頼りなくて

      僕はつい、苦笑い

      そよそよ

      謝りたい気持ちは、弱い風に靡くのに

      君に会うと無口になる

      何も言えないよ

      泣きだしそうな僕を見て

      君もつい、苦笑い




背中に奇妙なマークを描いて
彼女は頻りに目配せをする

坂の上に立っているのか
どのくらい離れているのか
それが何の合図か、それすら分かりもせずに
選ぶ事は難しい

彼女の機嫌なら、決して悪くなかった
次に何が起きるのか
言い当てられたとしたって
それではもう遅い
遅いのさ

彼女は気分屋、皆そう呼ぶ
でも機嫌なら悪くなかった
思いだすんだ
決して悪くなかったんだ







      パスタによく絡むんだ

      あの子の作り話は

      毎度お馴染みの味で

      あぁいうのを、故郷の味と言うのかな

      破裂するほどは食べたくないよ

      電話が鳴れば恐怖のお呼ばれ

      さて、何を着て出掛けよう







当て嵌まり過ぎて、チェックシートはぐちゃぐちゃだ

思考だけを置き去りにして

僕の体は空中分解

正体はだぁれ

僕ではないの

貴方はだぁれ

誰でもないの

眠りの淵だ

本当と嘘の真ん中なんだ

床に転がる考え事が

啜り泣いてる、ような気がした


                                                                          エミリーは何処へ行くの?

                                                                          僕が守るのに

                                                                          王子様になりたい

                                                                          ヒーローになりたい

                                                                          勇ましく在りたい

                                                                          君を守る為に

      君は悪夢を捕まえようと、小さな胸に決意を告げた

      だけどそれ等に押し上げられて、君はどんどん昇ってく

      空にぶつかるその時は、僕も一緒に落ちるから

      心配しないで良いんだよ

      君はどんどん昇れば良い




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